国際研修「紙の保存と修復」

開会式後の関係者集合写真
実習(裏打ちの準備)
実習(糊の準備)

 8月29日より9月16日まで、ICCROMおよび九州国立博物館との共催で国際研修を行いました。世界中から60名程の文化財関係者の応募があり、その中からインド、スイス、メキシコなどに所属機関がある10名が参加者として選抜されました。
 この研修では紙、特に和紙に着目し、材料学から歴史学まで様々な観点からの講義を行いました。同時に実習では、欠損部の補填から、裏打、軸付けなどを行って巻子を仕上げ、さらに和綴じ冊子の作製も行いました。見学では、修復にも使用される手すき和紙の産地である岐阜県美濃地方を訪れて和紙製造の現場および紙の集散地として発展した美濃市美濃町伝統的建造物群保存地区を見学し、紙の製造から輸送、販売まで歴史上の和紙の流通について学習しました。さらに、伝統的な表装工房や道具・材料店を訪れ、日本における紙の保存修復のための環境についても学びました。
 この研修で伝えられた技術や知識が、海外で所蔵されている日本の紙文化財の保存修復や活用の促進につながり、ひいては海外の作品の保存修理にも応用されることを期待しています。

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