佐賀県立博物館新収資料花鳥図螺鈿琵琶 銘「孝鳥絃」の調査

花鳥図螺鈿琵琶 銘「孝鳥絃」背面

 佐賀県立博物館に寄贈された花鳥図螺鈿琵琶 銘「孝鳥絃」の調査を、武蔵野音楽大学の薦田治子教授と一緒に行いました。これは、明国出身の武冨家に伝来したもので、大財聖堂を築いた武富廉齋(1638~1718)の父が清国の商人から購入し、廉齋が後水尾天皇の求めで御前演奏を行って「孝鳥弦」の名を下賜された、という伝えのある琵琶です。裏面に螺鈿の細工があり、徳川美術館の小池富雄氏が明時代の技法、と判定されましたが、従来知られていた明時代の琵琶よりは胴がふっくらした形態で、中国南部の南琵の系統を引く楽器と考えられます。日本で弾奏するために、中国琵琶特有の柱(ブリッジ)を表板からはずした可能性も考えられるので、今後、中国との比較研究を行って、さらに詳しく調査を行いたいと思います。

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