泰西王侯騎馬図屏風の光学調査

サントリー美術館での蛍光エックス線分析による調査の様子

 企画情報部と保存修復科学センターでは平成22-23年度にかけて、サントリー美術館所蔵の泰西王侯騎馬図屏風(重要文化財)の光学調査を実施しました。泰西王侯騎馬図屏風は桃山時代の初期洋風画の傑作として知られています。四人の王侯の騎馬姿が大きく描かれた四曲一双の屏風で、神戸市立博物館に所蔵されている泰西王侯騎馬図屏風(重要文化財、現在は四曲一隻)とともに、もとは会津藩若松城(鶴ヶ城)の障壁画であったと伝えられています。しかし、この屏風の制作経緯については不明な点も多く残されています。今回の光学調査では、高精細カラー画像、近赤外線画像、蛍光画像、エックス線画像の撮影を行い、描写や彩色に関する詳細な調査を実施するとともに、蛍光エックス線分析により彩色材料の特定を行いました。その結果、両作品に使われている絵具は日本画に用いられる顔料が中心であるが、背景の金箔材料が異なっていることなどが明らかになりました。調査結果の一部は、サントリー美術館で開催中(平成23年10月26日~12月4日)の特別展「南蛮美術の光と影、泰西王侯騎馬図屏風の謎」の展覧会場でパネル展示されています。

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