無形文化遺産保護条約第6回政府間委員会

無形文化遺産保護条約第6回政府間委員会

 無形文化遺産保護条約第6回政府間委員会は、去る11月22日から29日の1週間、インドネシアのバリ島ヌサドゥア地区のバリ国際会議センターにおいて開催され、東京文化財研究所からは、無形文化遺産部の宮田繁幸・今石みぎわ、企画情報部の二神葉子の3名が参加しました。今回の会合では、緊急保護一覧表に11件、代表的一覧表に19件の新たな無形文化遺産の記載が、また推奨保護計画として5件の登録が決定されました。日本からは、代表的一覧表への推薦済み案件のうち、6件が審査され、「壬生の花田植」、「佐陀神能」の2件が記載、「本美濃紙」、など4件は情報照会の決議がなされました。この情報照会という手続きは、今回の委員会から運用が始まったもので、補助機関が記載・不記載の勧告をするのに申請書の情報が不足である場合になされる勧告です。今回は初めてということもあり、この情報照会の是非を巡り、個別案件ごとにかなり議論が展開されました。また、1昨年度から問題とされている、申請書処理数の制限、各国申請件数のシーリング、専門家による諮問機関の導入の是非、等に関しては、昨年まで以上に委員国間の意見対立が大きく、いくつかの議題では今までにない多数決投票による決定にまで至りました。本格的な運用開始から3年あまりで、無形文化遺産保護条約は大きな転換点に来ている状況を如実に表したものといえるでしょう。日本国内でも関心が高い問題であり、また無形文化遺産分野での国際交流を進めていく上でも、今後ともこの動向を注視していくことが必要です。

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