選定保存技術の調査—鬼瓦・宮古苧麻績み・琉球藍・宇陀紙

鬼瓦製作
宮古苧麻績み(繊維取り)
琉球藍製造
宇陀紙の原料となる楮の芽かき

 文化遺産国際協力センターでは、選定保存技術に関する調査を行い、日本の文化財を守り支える伝統的技術として海外に情報発信する取り組みを行っています。2015年6月には鬼瓦・宮古苧麻績み・琉球藍・吉野宇陀紙の調査を行いました。
 寺院建築などの本瓦葺きの屋根には数十種類の瓦が用いられており、伝統的かつ用途に応じた高度な技術・技法の継承が必要不可欠です。奈良県生駒郡の山本瓦工業株式会社にご協力頂き、鬼瓦などの製作工程を調査しました。
 宮古苧麻績みは、苧麻の茎の表皮から繊維を取り、手績みして糸を製作する技術です。重要無形文化財・宮古上布等の沖縄の染織技術の保存・伝承に重要なものですが、技術者の高齢化、後継者の育成が急務の課題となっています。
 宮古上布にも用いられる琉球藍は、本州の藍とは別種の藍による染料で、現在その主要な生産地は沖縄本島の本部町伊豆味に限られており、貴重な存在となっています。
 また奈良県吉野郡の福西和紙本舗にて、自家栽培の楮を用いた伝統的な手漉き和紙の製作工程についての聞き取り調査・撮影を行いました。この吉野宇陀紙は、主に掛軸の裏打紙として用いられ、書画などの文化財の保存修復で世界的に評価され、使用されています。この調査で得られた成果は、報告書にまとめるほか、海外向けのカレンダーを制作する予定です。

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