広島県北部地域における無形民俗文化財の保護活動調査―韓国国立無形遺産院との研究交流

壬生の花田植
三次の鵜飼

 無形文化遺産部では、2011年から韓国国立無形遺産院(前韓国国立文化財研究所)と第二次「無形文化遺産の保護及び伝承に関する日韓研究交流」を行っています。その一環として、6月1~22日の日程で無形遺産院の方劭蓮(バン・ソヨン)氏が来日し、共同調査を行いました。今回は無形の文化財の保存・活用について保存団体等がどのように活動しているのか、具体的な事例研究を行うことを目的に、広島県北広島町の壬生の花田植(国指定重要無形民俗文化財、ユネスコ無形文化遺産)や同県三次市の「三次の鵜飼」(県指定無形民俗文化財)を見学し、関係者に聞き取り調査を行いました。花田植も鵜飼いも、その伝承には観光という要素が不可分に結びついています。それだけに、伝承にあたっては伝承者だけでなく、行政や関連団体、地域の方々、研究者、観客など、多様なアクターが多様な関わりを持ち、地域経済とも関わりながらより柔軟に文化伝承がなされており、調査ではその実態の一端を知ることができました。
 韓国では、無形の文化財に関わる新しい法律が2016年3月に施行され、保護をめぐる環境が大きく変わろうとしています。折しも、この研究交流事業も本年度で一端終了し、来年度はまとめの年になります。今後は第二次研究交流の成果をまとめるとともに、韓国での法律改正後の動きも踏まえながら、再来年度以降の交流の在り方を両国で検討していく予定です。

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