選定保存技術の調査—錺金具・金襴・杼

錺金具の製作
金襴の製作
杼の製作

 文化遺産国際協力センターでは、選定保存技術に関する調査を行っています。選定保存技術保持者の方々から実際の作業工程やお仕事を取り巻く状況や社会的環境などについてお話を伺い、作業風景や作業に用いる道具などについて、企画情報部専門職員・城野誠治による撮影を行っています。2015年4月には京都で錺(かざり)金具、金襴、杼(ひ)製作の調査を行いました。
 森本錺金具製作所では四代目森本安之助氏より社寺建造物の錺金具や荘厳具などの製作についてのお話を伺い、銅板を型取りし、文様を彫り、鍍金(金メッキ)し、仕上げていくという錺金具の一連の製作工程を調査させて頂きました。
 表具用古代裂(金欄等)を製作している廣信織物では、廣瀬賢治氏より西陣織の現状についてお話を伺い、金糸を緯糸に織り込んでいく金襴の製作を取材させて頂きました。またこうした製織に必要不可欠な杼(織物の経糸の間に緯糸を通す木製の道具)を製作されている長谷川淳一氏より、さまざまな種類・用途の杼についてご説明頂き、実際の作業工程について調査させて頂きました。
 文化財はそのものを守るだけではなく、文化財を形作っている材料や技術も保存していく必要があります。この調査で得られた成果は、報告書にまとめるほか、海外向けのカレンダーを制作し、日本の文化財のありかた、文化財をつくり、守る材料、技術として発信していく予定です。

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