文化財の保存環境に関する研究会「文化財の保存環境の制御と予測」

研究会の様子

 文化財の保存を考える上で、温湿度、光、空気質等の保存環境を適切に保つことが重要です。そして、空気調和設備の技術的な発展に伴い、展示・収蔵施設における温湿度環境は著しく向上されてきました。一方で、作品の貸し借りや移動に伴う環境の変化や省エネ等の観点から、文化財を保存するための温湿度条件に関する議論が国内のみならず世界的にも再び高まりつつあります。
 保存修復科学センターでは、文化財を取り巻く温湿度環境が文化財へ与える影響、温湿度環境の予測や制御に関する研究を行っています。2015年2月9日に開催した研究会「文化財の保存環境の制御と予測」では、保存科学の研究者(間渕創氏(三重県総合博物館)、古田嶋智子氏(東京藝術大学))や建築分野の専門家(権藤尚氏(鹿島技術研究所)、北原博幸氏(トータルシステム研究所)、安福勝氏(近畿大学))をお招きし、文化財の展示・収蔵施設における空調設備を用いた温湿度制御の事例、新しい設備を開発し導入した事例、展示ケース内における温湿度や空気質を調査した事例、コンピューターシミュレーションを用いた温湿度環境の予測及び実測値との比較等の事例を通じて、文化財の保存環境に関する最新情報の共有とディスカッションを行いました(参加者:29名)。

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