国際研修「ラテンアメリカにおける紙の保存と修復」の開催

小麦糊準備の実習
裏打ち作業のデモンストレーション

 本研修は、文化財保存修復国際センター(ICCROM)のラテンアメリカ・カリブ海地域における文化遺産の保存プログラム(LATAM)の一環として、当研究所、ICCROM、メキシコ国立人類学歴史機構国立文化財保存修復機関(CNCPC-INAH)の3者協同で開催されました。11月5日から11月30日にかけて CNCPC-INAH で行われ、スペイン、キューバ、コロンビア、エクアドル、ブラジル、ペルー、アルゼンチン、メキシコの8カ国から、文化財修復の専門家9名の参加がありました。
 本研修では、日本の伝統的な紙、接着剤、道具についての基本的な知識と技術を教授し、それらを応用して各国の文化財の保存修復に役立てることを目的としています。研修の前半は、装潢修理技術に用いる材料、道具、技術をテーマに、日本人講師が講義、実習を行いました。本年度の研修では、修復作業時の安全性に直接つながる作業環境の整備、作業準備、道具の手入れ、片づけなどに重点を置いて実習を行いました。後半では、当研究所の事業「国際研修 紙の保存と修復」を修了した後、日本の技術を欧米の文化財修復に応用した経験のあるメキシコ、スペイン、アルゼンチンの講師がその活用事例を紹介し、実習を行いました。日本の装潢修理技術が、各国の文化遺産の保存修復に応用されることを期待して、今後も同様の研修を継続してゆく予定です。

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