国際研修「紙の保存と修復」2014の開催

紙文化財の修復実習風景

 8月25日から9月12日の日程で、国際研修「紙の保存と修復」を開催しました。本研修は東京文化財研究所とイクロムとの共催で行っており、日本の紙文化財の保存と修復に関する技術や知識を海外の文化財関係者に伝えることを主旨としています。今年は69名の応募の中からニュージーランド、台湾、デンマーク、イギリス、セルビア、フランス、キューバ、アメリカ、オーストラリア、タイの文化財修復関係者10名を招きました。
 講義では、修復材料に関する基礎科学や学術的見地から見た文化財といった内容を取り上げました。また実習では、巻子形式の紙文化財の修復から仕立てまでを実施し、和綴じ冊子の作製も行いました。さらに日本の文化財の代表的な形態である屏風と掛軸の構造について学び、その取扱い方法の実習を行いました。見学では、岐阜県美濃地方を訪れて手漉き和紙の製作工程、原料、歴史的背景などについて学びました。また、京都の伝統的な修復工房や道具・材料店も訪れました。最終日のディスカッションでは、各国での和紙の利用状況に関する情報交換や修復に関する技術的な質問が挙げられ、活発な議論が交わされました。この研修を通して、海外での文化財修復に日本の技術が役立てられることが期待されます。さらに今後も同様の研修を継続していく予定です。

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