歴史的木造建造物保存に関するミャンマー文化省職員招聘研修

瓦を寄進する研修生(東大寺大仏殿)
修理工事の現場説明(姫路城)
乾拓の実習(天野山金剛寺)

 文化庁委託による「ミャンマーの文化遺産保護に関する拠点交流事業」で昨年度より継続中の歴史的木造建造物保存研修プログラムの一環として、日本国内での第1回招聘研修を実施しました。今回は、既にミャンマー国内での研修に参加しているメンバーの中から、ミャンマー文化省考古・国立博物館局の職員3名が、8月21日から30日までの日程で来日しました。わが国における文化財建造物保存の考え方と修理事業の実情等への理解を深めてもらうことを主な目的とする本研修では、基本的テーマに関する座学の他、関西方面をはじめとする文化財建造物修理工事現場を訪問し、設計監理を担当する修理技術者の方々からお話を伺いながら作業の手順や調査・計画の具体的手法等を学んでもらいました。
 初めて目にする大規模な修理工事の現場や、整然と並べられた解体部材の状況などは、研修生たちに強い印象を与えた様子で、現場での熱心な質疑や実習等を通じて、多くの知見を得られたようです。とりわけ、修理の過程に伴って綿密に行われる建物の調査や記録の方法、大工職人の丁寧な仕事ぶり等には大いに関心が示されていました。無論、わが国で行われている方法の全てが直ちにミャンマーに移植できるものではありませんが、今後ミャンマーでの歴史的木造建造物保存修復を担っていくべき彼らが、自らの文化遺産をいかにして将来に護り伝えていくかを考える上で、貴重な経験になったことと思います。引き続き協力事業を実施することで、同国の文化遺産保護に貢献していきたく思います。

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