ロビー展示「海外の文化財を守る日本の伝統技術」

ロビー展示風景
展示部分画像「絵を描く」群青が絵絹にのる様子

 当研究所1階エントランスロビーでは、定期的に研究成果や事業紹介を行っています。今回の展示では書画を作り、鑑賞し、修復し、保存していくために必要不可欠な材料と技術についてご紹介します。企画は文化遺産国際協力センターが担当し、全ての画像を企画情報部画像情報室の城野誠治が撮影しました。そして文化財が様々な材料と技術が複合的に用いられて形作られていることを実感して頂くため、表紙と軸木も取り付けた、縦1.15m、横14mの長大な絵巻仕立てで構成しました。紙の繊維が重なって一枚の紙ができていくところ、岩が砕かれて鮮やかな絵具として精製されるところ、糊が入念に練られてしなやかにのびていくところなど、それぞれの材料や技術の特性が表れる一瞬を、大きな画像で示しています。併せて和紙・絵絹・絵具・唐紙・装潢の道具などの実物も展示ケースにて展示しています。今日では、この展示で紹介する材料や道具を作る技術、文化財を修復する技術自体も守っていく必要があり、国の重要無形文化財、選定保存技術に指定、認定されています。一方で、これらの日本で培われてきた技術や材料は広く海外でその有効性が認知され、海外の文化財修復に応用されてきています。当研究所では日本の修復技術や材料に関する正しい知識の普及のため、海外向けの研修事業も行っております。日本の優れた伝統技術によって、世界の文化財が守られ、後世に伝えられていくことにご理解いただければ幸いです。

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