カンボジア・タネイ遺跡での第4回建築測量研修

写真測量標定点のTS計測
ソフトウェアを用いた3Dモデルの作成

 1月17日から24日までのおよそ1週間にわたり、カンボジア・アンコール遺跡群内のタネイ遺跡を対象とした第4回の建築測量研修を実施しました。昨年度から始めた本研修は、今回で最終回となり、アプサラ機構、プレア・ヴィヒア機構、及びJASA(日本国政府アンコール遺跡救済チームJSAとアプサラ機構との合同チーム)から、建築学・考古学を専門とする若手スタッフが計9名、研修生として参加しました。
 今回のテーマは、境内の主要樹木の計測、及び写真測量であり、第1回からの研修を通して作成してきた遺跡平面図の完成と同時に、今後のリスクマップ作成や保存管理計画策定に向けた準備として、遺跡を構成する様々な要素の記録と管理のための新たな手法を学びました。トータルステーションと写真測量専用のソフトウェアを用いて、彫刻を伴う壁面や散乱石材の3次元記録を行うとともに、これらを今後、どのように遺跡管理に応用していくかという課題を全員で議論しました。最終日には各人がそれぞれの成果を発表し、2年間にわたる研修の修了証が手渡され、研修生たちに笑顔が溢れました。
 数あるアンコールの遺跡群内の中で、タネイ遺跡は、これまでほぼ手つかずの状態で残されてきた貴重な場所であると同時に、その保存管理のためには、多くの課題が未だ残されています。本研修は、カンボジア人遺跡管理スタッフに基本的な測量技術を移転すると同時に、彼ら自身の手で、遺跡を後世に護り伝えていくことを支援するための、最初のステップと位置付けています。建築測量研修はこれで終了となりますが、さらに今後も技術的支援・研究交流を継続していく予定です。

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