大エジプト博物館保存修復センタープロジェクトへの協力―染織品研修の実施―

染色実習の様子

 国際協力機構(JICA)が行う大エジプト博物館保存修復センター(GEM-CC)プロジェクトへの協力の一環として、GEM-CCのエジプト人スタッフ8名を対象とした染織品研修を当研究所で実施しました。研修員は、染織品など有機遺物の保存修復士5名と収蔵庫管理者1名、および機器分析を担当する科学者2名で構成され、染織品保存修復士である石井美恵客員研究員を総括講師として9月2日〜13日までの2週間行われました。
 研修では、東京都立産業技術研究センターの朝倉守氏のご協力を得、合成染料の染色機構や光による退色、耐光堅牢度試験について講義していただきました。また、当研究所で保存科学を専門とする藤澤明アソシエイトフェローの指導により、材料試験法についても実習を交え学びました。加えて染色や展示品のマウント作製実習のほか、博物館収蔵庫や修復現場の視察なども実施しました。
 研修を通して、保存修復士や収蔵庫管理者、科学者といった異なる立場の者が互いに協力して作業にあたり、分析や評価、意見交換を行うことの重要性についても理解を促しました。研修員は短い期間の中で多くのことを吸収していました。
 本プロジェクトでは、研修内容をGEM-CC内により広く浸透させ、全体の底上げを図るためにも、研修員が学んだ知識や経験を自らが指導者となって同僚に教え伝えていくことで、スタッフ間の協力体制を構築、強化していくことを目指しています。

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