国際研修「紙の保存と修復」

裏打ちのデモンストレーション

 8月26日から9月13日まで、ICCROMとの共催で国際研修「紙の保存と修復」を行いました。今年は世界各国から文化財関係に従事する60名程の応募があり、その中から選抜されたアメリカ、アラブ首長国連邦、ドイツ、カナダ、オーストラリア、イギリス、マレーシア、スイス、ボリビア、グアテマラの所属機関から10名が参加しました。この研修では紙、特に和紙に着目し、材料学から歴史学まで様々な観点からの講義を行いました。実習では、欠損部の補修、裏打、軸付けなどを行って巻子を仕上げ、和綴じ冊子の作製も学びました。見学では、修復にも使用される手すき和紙の産地である岐阜県美濃地方を訪れて和紙製造の現場および美濃市美濃町伝統的建造物群保存地区を見学しました。また、日本における紙の保存修復のための環境について学ぶため伝統的な表装工房や道具・材料店も訪れました。この研修での技術や知識が、海外で所蔵されている日本の紙文化財の保存修復や活用の促進につながり、ひいては海外の作品の保存修理にも応用されることが期待されます。

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