国際シンポジウムに向けての研究会

 当研究所が主催する国際研究集会「『かたち』再考―開かれた語りのために」の開催に先立ち、当日の議論を深めるため、第一セッションでご発表いただく小沢朝江氏(東海大学、日本建築史)をお招きし、9月9日(火)15時より企画情報部研究会室において研究会を行いました。
 小沢氏は、「近代における「様式」の創造と構築 ―巡幸・巡啓施設をめぐって」の題目で、明治初期の行在所(アンザイショ)や御小休所(オコヤスミショ)といった巡幸施設の建築のかたちを対象に、明治天皇行幸は洋風化された皇室像を印象付けるものであったという一般の理解に反して、用いられたのは和風建築が圧倒的に多かったこと、洋風建築が用いられた場合も置畳・御簾などの調度によって近世までの玉座のかたちが作られたことを指摘され、異文化に由来するかたちを受容する際にも、かたちと人の間の既成の関係が踏まえられていることを明らかにされました。
 建築の分野では、かたちの背後にある人の思惑や受容のあり方の類似性の考察が加わってはじめて分類が可能となることがうかがえ、かたちをめぐる諸分野の考察方法を見直すきっかけとなりました。

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