国際シンポジウムに向けての研究会

 当研究所が例年主催する国際研究集会は今年度「『かたち』再考―開かれた語りのために」をテーマに行います。「群れとしての『かたち』」「個としての『かたち』」「『かたち』を支えるもの」の3セッション構成で、美術、考古遺物、建築をはじめ伝統芸能や古典文学などかたちあるものを対象とする様々な分野の研究を集め、各分野の方法を持ち寄って新たな語りの方向を探ろうとするものです。対象が多岐にわたるため、議論の基礎作業として、ご登壇者を招いての研究会を開催していくこととし、皮切りに第3セッションでご発表いただく桑木野幸司氏(大阪大学)を当研究所にお迎えし、8月2日15時より研究会を開催しました。桑木野氏は「初期近代イタリアの庭園と記憶術」と題してお話になり、16世紀にフィレンツェ郊外に造られたカステッロ荘庭園を例に、15世紀から17世紀の西欧で盛んになった記憶術によるかたちの読み解きを紹介されました。
 大航海時代が始まり、印刷技術が発明されて情報量が急速に増加した15世紀には、それらを整理・蓄積するための記憶術が発達し、情報と特定のかたちを結びつける考え方が流布して、建築物や庭園にもそれが反映されたとのことです。かたちの背景となっているものの一端がうかがえる刺激的な研究会となりました。

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