ブータン王国の伝統的建造物保存に関する拠点交流事業

版築試験体からのコア抜き作業
ユタ・ゴンパ寺院での職人への聞き取り調査

 文化庁の委託による本事業では、ブータンの伝統的建造物、なかでも版築造の民家及び寺院を対象に、伝統的な工法の理解と耐震性・安全性の評価、向上という課題について、同国の内務文化省文化局遺産保存課をカウンターパートとして昨年度より取り組んでいます。建築技術や構造、材料に関する調査、実験を現地側スタッフと共同で行うことにより、研究交流と人材育成に寄与しようとするものです。
 本年度第1回目の現地調査を6月21日から7月3日までの日程で実施し、合計9名の専門家を派遣しました。ティンプー、ウォンデュ・ポダン、パロの各県において、伝統的工法による版築試験体の作製とそれを用いた材料強度試験、寺院・民家及びその廃墟を対象とした実測調査や工法調査、常時微動計測等を行ったほか、一昨年の地震で被災した版築造寺院の修復現場や、版築造住宅の新築現場を訪れ、職人への聞き取りと併せて、文化財保存修復や建築技術の現状に関する情報を収集しました。
 近年、特に首都ティンプーでは、このような伝統的建造物が急速に失われつつありますが、その一方で、祖先から受け継いできた技術を何とか後世に残し伝えたいと願う人々の思いも、今回の調査を通して感じられました。それらを文化遺産として位置付け、適切に保存継承していくために、これからも技術的支援と人的交流を継続していきたいと思います。

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