タジキスタン国立古代博物館所蔵壁画断片の保存修復に関する研究会の開催

保存修復専門家による講演
処置方法に関する討議の様子

 東京文化財研究所では、タジキスタン共和国科学アカデミー歴史・考古・民族研究所と共同で、2008年度よりタジキスタン国立古代博物館に所蔵されている壁画の保存修復を実施しています。これまでに実施した保存修復について、2012年6月12日に、「タジキスタン国立古代博物館が所蔵する壁画の保存修復に関する研究会」を開催しました。
 主に保存修復の対象としている所蔵壁画は、シルクロードの商人として知られるソグド人の宮殿址から出土した壁画(7~8世紀頃)と初期イスラーム時代の宮殿址フルブック遺跡から出土した壁画(11~12世紀頃)です。ソグドの壁画は、火災により焼き締められ、また断片化しています。これらの断片をつなぎ合わせ、古代博物館に展示するまでの一連の保存修復処置について報告しました。また、フルブック遺跡出土の壁画は、非常に脆弱化しているため、その強化処置をおこないながら、将来的な展示を目指した保存修復処置の方法を検討している現状を報告しました。研究会では、今後の保存修復のための方法や使用材料について発表者と参加者による討議がおこなわれ、有意義な意見交換の場となりました。

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