韓国文化財研究所との研究交流―仏教儀礼の比較研究―

先祖の供養をする僧侶と信徒
燃灯祭りの出し物

 昨年11月の調印により、韓国文化財研究所との第2次の研究交流が始まりました。初年度は、無形文化財研究室の高桑が、仏教儀礼を対象に5月18日から2週間、調査を行いました。
 日本や韓国では仏教は大きな位置を占めていますが、それぞれ固有に展開したことで宗教儀礼や仏教行事のあり方に相違点が少なくありません。韓国では、釈迦の誕生日にあたる旧暦4月8日は祝日ですし、その1週間前には生誕を祝う大がかりな燃灯祭りを行い、海外からも観光客が集まるなど関心を呼んでいます。禅宗系統の曹渓宗が9割近くを占めるなか、朝昼晩に礼仏を欠かさず行う点は日本と共通していましたが、信徒も泊まり込んで礼仏に参加し、僧侶と一緒に祈祷を行う姿には、日本には見られない熱意が感じられました。
 また、日本では、宗教に関わる儀礼は宗教行為とみなされて重要無形文化財に指定されることはありませんが、韓国では太古宗の儀礼「霊山齋」を世界無形遺産に登録するなど、宗教儀礼に対する措置も大きく異なっています。仏教儀礼の比較調査からは、仏教だけにとどまらない日韓の意識のあり方が如実にうかびあがってきます。

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