ギメ美術館理事、ユベール・ギメ氏講演会

講演会の様子

 当研究所は2010年にフランスのギメ美術館と研究協力及び交流に関する覚書を交わしました。ギメ美術館は19世紀から20世紀初頭にかけてエジプト、さらにはインド洋を経て日本に至る諸国を訪れたエミール・ギメが、各国で収集した東洋の宗教に関連する文化財を所蔵、展示する美術館です。日本の仏教美術品も多く収蔵しており、フランスでは有数の東洋美術館となっています。同美術館の理事でエミール・ギメの曾孫にあたるユベール・ギメ氏が来日されるのを機会に、当所にて4月5日に講演会を開催し、「エミール・ギメ ウルトラマリンからギメ美術館へ」と題してお話いただきました。
 エミール・ギメの父親ジャン・バティスト・ギメ(1795-1871)は1826年に人工ウルトラマリンの製造法を発明します。ウルトラマリンはアフガニスタンなどで採取されるラピスラズリを粉砕して作られる青色顔料で、ヨーロッパでは輸入する以外に入手できず、金と等価に売買されるほど高価なものでした。ギメの発明によって科学的に製造されるようになった人工ウルトラマリンは瞬く間に普及し、1855年にはペシネ社という会社が創立され、1850年代には創業当初の100倍の生産量に及んだとされます。エミール・ギメの大旅行と美術品収集の資金はこれを元にしていました。
 人工ウルトラマリンは画家たちの絵画制作にも当然用いられ、ジャン・ドミニック・アングルなどの新古典主義の巨匠の作品にもその使用を認めることができるといいます。
 この講演はこれまで知られていなかったギメ家の歴史の一端が明らかにし、また19世紀ヨーロッパ絵画史におきた材料面での大きな変化についても指摘するものでした。90余名の方々にご参加いただき、盛会のうちに終了しました。

to page top