アルメニア歴史博物館所蔵の考古金属資料の保存修復ワークショップ開催

写真撮影実習の様子

 文化庁委託文化遺産国際協力拠点交流事業の一環として、平成24年1月下旬から2月上旬にかけて、アルメニア歴史博物館にて同館所蔵の考古金属資料の保存修復ワークショップを開催しました。1月24日~2月3日までの8日間は、アルメニア歴史博物館のほかアルメニア国内の他機関所属の若手専門家合計10名に対し、ドキュメンテーションをテーマとした国内向け人材育成ワークショップを開催しました。労働安全衛生、博物館と保存修復、金属科学、文化財科学と分析技術に関する講義のほか、写真撮影、状態調査、顕微鏡による光学調査と可搬型蛍光X線分析計(XRF)を用いた元素分析などの実習を実施しました。適切な保存修復処置方法の選択のほか、国内専門家のネットワーク構築、青銅器の製作技術の研究などを行いました。
 また、2月7日~11日の5日間、国内向けワークショップ参加者10名のほか、グルジア、イラン、ルーマニアの3カ国から金属保存修復専門家各1名ずつをアルメニアに招聘し、さらにまた、アルメニアの考古金属資料の調査研究を行っているアルメニア人考古学者、科学者なども招き、国際ワークショップを開催しました。アルメニアの金属文化財に関する研究や、自国の博物館や保存修復の状況を発表しあうことで、情報交換と広域ネットワーク構築に貢献しました。
 次回のミッションでは、錆除去等の保存修復処置作業を行います。また、修復後に再度元素分析を実施し、製作技術の研究を深めていく予定です。

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