楽雅記

  • 読売新聞
  • 1911(明治44)/03/11
  • 5
  • 雑報

▽洋画界の重鎮、白馬会は解散と決議致候。此の決議は確に美術界革新の曙光を与へたるものにて候。思ふに同会の最盛時は創立以後五六年間にて、今日まで其の勢力を維持致候は所謂惰力と可申、其精神気迫は既に十年の昔に於て衰滅に帰 し居候。今日の解散は洵に機宜を得たるものと存候。
▽惰力によ りて其の勢力を維持致候もの、白馬会のみに限り不申、斯る団体は宜しく此の顰に倣ふてドシドシ解散を希望致候
斯くして従来美術界に揺曳せる腐敗の空気を一掃し、各自向上の道途に上らば、将来健 実の発展も期待被致べくと存候。

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