白馬会瞥見

  • 瞥見生
  • 国民新聞
  • 1901(明治34)/10/24
  • 2
  • 展評

本年は思の外落莫でない出品も昨今出揃ひつゝあるその中には随分目に附くものが多くある先つ入ロの方には窪田喜作氏の出品は概して一昨年のよりは不出来と思ふが然も『残雪』と『裁縫』などは先つ佳なりと評す可しだ願 くは今少しく総てに就て注意がほしい、それから前面に掛りて居る赤松麟作氏 の『夜行列車』は幅員も広く人物も多く製作上の困難察す可しだ全体の纏まりは先つ宜しい方であるとしても夕方の汽車内とし ては余りに明る過きるかと思はるゝ多くの人物は何れも性格は現はれて居 る様だが頭の割りには手足が拙く且つ色がどれどれも同じ様で全体によごれて居るのは遺憾と申さねばならぬ、然し此作の如きは客員の出品中の主物かも知れぬ、尚ほ追々と見るに任せ評をする積りである(瞥見 生)

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