本データベースでは中央公論美術出版より刊行された『黒田清輝日記』全四巻の内容を掲載しています。なお、デジタル化にともない、正字・異体字・略字や合成文字は常用漢字ないし現行の字体に改めました。



1897(明治30) 年2月16日

 二月十六日 火 いよいよ今日から裸体の女を手本ニして画を始めた 始めて見ると面白い 昼めし後ニ佐野が来半時間程居つて帰り四時頃ニ久米と安仲が来た 五時一寸前ニ仕事をやめ久 安と溜池の牛屋でめし 此処で菊地と山本ニ出遭ひめし後に菊地の内で二十一をやつて遊だ 合田もやつて来て加つた 「かるたとり夜をふかしつゝ帰るさにあられ降るなり溜池のみち」だナアーと思いながら霰の中を合田と見附まで来て内へ帰つたのハ一時 それから神戸の中井精一ニやる手紙をかいて寝る

to page top