宮尾しげを

没年月日:1982/10/02
分野:, (漫画)

 子供漫画の開拓者で民俗芸能研究や随筆家としても知られる宮尾しげをは、10月2日午後7時21分、心不全のため東京都豊島区の自宅で死去した。享年80。1901(明治34)年7月24日、東京・浅草区に生まれ、本名重男。生家は士族商法の鼈甲細工師であったが、大正初年華々しい活躍をしていた漫画家岡本一平に憧れ、漫画家を志す。17才の時岡本一平に師事し、その後新聞社に入社、時代物の冒険談を描いた4コマの連載子供漫画「漫画太郎」を毎夕新聞に掲載する。これは団子串助の前駆を為すもので、23年6月毎夕社出版部より単行本として刊行された。25年、現在の子供漫画のシリーズ形式の走りとなった代表作「団子串助漫遊記」を連載し日本古来の講談世界のナンセンスを展開、100版以上を重ねるベストセラーとなった。この後も歌舞伎や落語等、市井文化を反映させた時代物の子供漫画を発表、大正末から昭和初年にかけて「軽飛軽助」「一休さんと珍助」「今弁慶」等のヒットを飛ばす。大らかな人柄そのままに、とぼけた絵を得意とし、また32年には、音が出たり怪物が飛び出したりする立体的な動く漫画本『あっぱれ無茶修業』を創作した。戦時中、中国を旅行し店の看板ばかりを集めたスケッチ集「支那街頭風物」を出している。しかし、欧米のナンセンス漫画の影響や軍人ファッショの台頭などにより、次第に漫画から離れていく。戦中より戦後は、随筆や民俗芸能の研究を幅広く手がけ、殊に江戸小咄や川柳、文楽人形芝居、郷土芸能などを研究、「文楽人形図譜」「日本祭礼行事事典」「江戸小咄集」「文楽人形」「東京昔と今」「日本の民俗芸能」「芸能民俗学」「江戸街芸風俗誌」「江戸川柳の味い方」「地方狂言の研究」等多数の著書を残した。また文化財保護審議会専門委員、国立劇場専門委員、日本民謡協会顧問、日本民族芸能協会・日本歌謡学会の各理事などをつとめ、日本文芸家協会・日本民俗学会・日本近世文学会・日本演劇学会・日本風俗史学会等の会員でもあった。絵画にも戦後は主に文筆や評論の側から係わり、著書『日本の戯画』(67年)のほか、日本漫画家協会名誉会員、日本浮世絵協会・日版会の理事などをつとめた。65年社会教育功労賞、69年紫綬褒章を受け、75年勲四等に叙せられた。

出 典:『日本美術年鑑』昭和58年版(283-284頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2015年12月14日 (更新履歴)
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