吉坂隆正

没年月日:1980/12/17
分野:, (建)

早稲田大学理工学部教授、元日本建築学会長の吉坂隆正は、12月17日胃ガンのため東京都中央区の聖路加病院で死去した。享年63。雅号に歩歩徒。1917年(大正6)年2月13日東京市小石川区に生まれ、41年早稲田大学建築学科を卒業、45年早稲田大学助教授となり、50年から52年までフランスに留学し、ル・コルビジェのもとで学ぶ。59年早大理工学部教授に就任、61年から翌年にかけてアルゼンチン国立ツクマン大学の招聘教授として都市計画を講じる。この間、57年にベネツィア・ビエンナーレ日本館設計などの業績により芸術選奨を、63年には日本建築学会作品賞を受賞する。69年から72年まで早大理工学部長をつとめ、73年から74年まで日本建築学会会長に就任、また、73年、建設省建築審議会委員、74年日中建築技術交流会会長、75年日本建築積算協会会長、翌年日本生活学会会長になったほか、首都圏総合計画研究所理事長、環境庁自然保護審議委員なども歴任し、日本美術評論家連盟に加わる。78年、ハーバード大学客員教授となり、同年、早稲田大学専門学校校長に就任する。登山家としても知られ、早大アフリカ赤道遠征隊の副隊長、早大アラスカ・マッキンレー遠征隊長をつとめ、日本雪氷学会理事でもあった。著書に『環境と造形』(55年、河出書房)訳書に『ル・モジュロール』(全2巻、52、58年、美術出版社)などがある。主要作品は、アテネ・フランセ、日仏会館、大学セミナー・ハウスなど。
主要著作
住居学汎論 昭25 相模書房
モジュロール(ル・コルビュジエ)訳 昭27 美術出版社
ル・コルビュジエ 昭27 美術出版社
住居論(建築学大系1) 昭29 彰国社
環境と造形 昭30.9 河出書房
都市論(建築学大系2) <戸沼幸市共著> 昭35.9 彰国社
原始境から文明境へ 昭36 相模書房
住居学 昭40.7 相模書房
建築をめざして(ル・コルビュジエ)訳 昭42.12 鹿島出版
現代住居論・人間と住居(住居問題講座1) 昭43 有斐閣
オスカー・ニーマイヤー 昭44 美術出版社
告示録 昭47.12 相模書房
巨大なる過ち(ミッシェルラゴン) 昭47 紀伊国屋
住まいの原型 昭48 鹿島出版
アテネ憲章(ル・コルビュジエ)訳 昭51.1 鹿島出版
世界の建築(世界の美術13) 昭51 世田文化社
ル・コルビュジエ全作品(全8巻) 昭52-54 ADA
主要作品
イタリヤ・ヴェネチア・ビエンナーレ日本館 (昭31)
長崎・海晴学園校舎 (昭33)
日仏会館 (昭34)
富山・呉羽中学校 (昭35-38)
江津市庁舎 (昭37)
アテネ・フランセ (昭37)
富山県立立山荘 (昭39)
八王子・大学セミナーハウスの全体計画ならびに宿舎、体育館、講堂、管理棟、海外文化交流・民族資料館、交友館等一連の施設 (昭40-51)
大島町・元町復興計画・他一連の公共施設 (昭40-43)
更埴市庁舎 (昭40)
生駒山・宇宙科学館 (昭43)
盛岡市・働く婦人の家 (昭53)

出 典:『日本美術年鑑』昭和56年版(275-276頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「吉坂隆正」『日本美術年鑑』昭和56年版(275-276頁)
例)「吉坂隆正 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/9906.html(閲覧日 2024-04-19)

外部サイトを探す
to page top