土方久功

没年月日:1977/01/11
分野:, (彫)

彫刻家、新樹会出品者土方久功は、1月11日肺炎のため東京都新宿区の東京電力病院で死去した。享年76。明治33年7月13日東京市小石川区に生まれ、大正6年学習院中等科卒業後、同13年東京美術学校彫刻科塑造部を卒業。昭和2年2月丸善画廊で初の個展を開催、同4年3月ミクロネシヤ、西カロリン群島のパラオ島へ渡航し、遺跡、慣習、伝承等を調査蒐集、同6年10月にはヤップ離島サトワヌ島に入り以後7年間滞在して島民土俗、民話等を採集した。同13年末再びパラオ島へ移り翌年春帰国、同年南洋庁物産陳列所嘱託となり、帝国大学人類学教室(収集品を同教室へ寄贈)及び南洋文化協会で南洋土俗蒐集品を展観、また、この年新古典派協会へ特別出品し会員となったが、夏には再度パラオに赴き同17年3月まで滞在した。帰国後、陸軍軍属として民族班に加わり、同年から同19年3月まで北ボルネオに滞在し北ボルネオ軍政府調査室に勤務した。戦後は昭和25年から日本アンデパンダン展、読売アンデパンダン展に木彫を出品、同26年丸善画廊で個展を開催したのをはじめ、主に南洋に取材した木彫レリーフによる作品を発表、また同42年からは水墨画による小品展も開いた。この間、同30年第9回新樹会展に招待出品し、以後同51年第22回展まで毎年出品を続けた。新樹会展への出品作に、「パラオ連作」(木彫、第9回展)、「仁王」(木彫レリーフ、第12回)、「ガルミゾの大女」(木彫レリーフ、第17回)、「洗身池」(水彩、第25回)などがある。著書に『パラオの神話伝説』(大和書店)、『サテワヌ島民話』(三省堂)『流木』(小山書店)、絵本『おおきなかぬー』(福音館書店)など

出 典:『日本美術年鑑』昭和53年版(253頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「土方久功」『日本美術年鑑』昭和53年版(253頁)
例)「土方久功 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/9569.html(閲覧日 2024-04-18)

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