岩野市兵衛

没年月日:1976/10/07
分野:, (工)

越前奉書紙づくりで重要無形文化財和紙づくり保持者(人間国宝)である岩野市兵衛は、10月7日脳血せんのため福井県今立郡の自宅で死去した。享年75。明治34(1901)年9月14日福井県今立郡に生れ、大正5年高等小学校卒業後、15才で家業の越前奉書の製紙に従事し、60年近く奈良時代と同じ伝統的な製法を守った。越前奉書は、木材パルプなどを混入せず、原料はコウゾだけによる手すき和紙で、武家の公用紙に使われた格調高いものである。今でも記録用紙や版画用紙として使われる。昭和43年手すき和紙の越前奉書をすくことで人間国宝に指定された。現在この伝統的な越前奉書をすくのは岩野のところだけで、伝統的製法を深く研究し、その長所を守り、優れた越前奉書をすくことに専念していた。昭和35年(1960)には桂離宮松琴亭の襖壁紙をつくっている。昭和46年11月勲四等瑞宝章。同51年11月従五位叙位。

出 典:『日本美術年鑑』昭和52年版(287頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「岩野市兵衛」『日本美術年鑑』昭和52年版(287頁)
例)「岩野市兵衛 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/9500.html(閲覧日 2024-04-23)

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