下店静市

没年月日:1974/06/26
分野:, (学)

 美術史家下店静市は、6月26日胆ノウ炎のため国立京都病院で死去した。享年74歳。雅号樂濤山人。明治33年2月16日奈良県吉野郡に生れ、同37年父に伴われて北海道室蘭に移住した。室蘭中学を経て、大正6年立命館大学法学部に入学したが、富田溪仙に親炙し、しだいに美術への関心を深めた。大正8年11月立命館大学を中退し、以後美学、美術史研究に転じ、同9年上京した。同14年春より昭和3年まで東京帝国大学大塚保治、中川忠順に師事し、美学・美術史研究に専念した。この間、一時劇作家を志し、戯曲喜劇「不思議な仇討」、「秋」等を発表、前者は大阪に於いて上演され、交友関係に、今東光、尾崎士郎等らがいる。昭和5年富田溪仙の媒酌で竹内政野と結婚、同9年朝鮮半島の史蹟を巡歴した。この年の前後にわたり、「京都美術大観」の編纂に参加、また「画説」(23号)に初めて論文「信貴山縁起の内容」を発表した。その後、専ら執筆に専念、戦前戦後にかけてつぎの著書が出版されている。「支那絵画史研究」(昭和18年冨山房)「唐絵と大和絵」(昭和19年大阪駸々堂)、「大和絵史研究」(昭和19年冨山房)、「日本絵画史研究」(昭和23年冨山房)など。昭和24年9月には京都市立美術専門学校で、美術史を講じ、翌25年同校は京都市立美術大学となったが、同じく東洋美術史概説などの講義を41年3月まで行った。その後、同志社大学、大阪市立大学、福井大学、関西大学等の講師となり、昭和39年には帝塚山大学教授となった。この間、昭和31年「大和絵史」(冨山房)を出版し、また35年には「日本古代絵画史研究」の論文により関西大学より文学博士の学位を得た。そのほか昭和42年には私学研修福祉会の推薦によって欧州各国を巡遊、44年にも北欧、東欧、中近東の旅行を行った。45年古稀を記念して同朋、門下集り比較文化史学会をつくった。なお昭和50年6月同会より「下店静市先生遺文集」が刊行された。主な著書として、以上あげたほか「鳥羽僧正」(昭和2年アルス美術叢書26)、「信実」(昭和3年アルス美術叢書)「東洋画の見方と技法」(昭和18年駸々堂)「美術入門」(昭和24年天地書房)等がある。

出 典:『日本美術年鑑』昭和49・50年版(264頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2015年12月14日 (更新履歴)
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