山口蓬春

没年月日:1971/05/31
分野:, (日)

 日本画家山口蓬春は、5月31日肝臓障害のため、神奈川県葉山の自宅で死去した。享年77才。本名三郎、明治26年10月15日北海道松前市に生れ、大正3年東京美術学校西洋画科に入学し、同7年同校日本画科に転向、同12年卒業した。翌年松岡映丘の主宰する新興大和絵運動に参加し、この年第5回帝展に「秋二題」が初入選となった。翌年の「神苑春雨」についで出品した第7回帝展の「三熊野の那智の御山」が特選となり、帝国美術院賞となって一躍その名を知られるに至った。昭和2年第8回帝展出品の「緑庭」もつづいて特選となり、昭和3年第9回で推薦、翌4年審査員となった。また昭和6年7月には、中村岳陵福田平八郎、横川毅一郎らと友交を主とする研究団体六潮会を結成した。昭和25年日本芸術院会員となり、同40年には文化勲章を受領した。作品は、復古大和絵調から次第に洋風表現に傾き、昭和7年第13回帝展「市場」にみられるような機知に富んだ近代感覚溢れる作品を生むに至っている。戦後は、斯様な傾向が更に助長され、明快な描写と色彩で、大和絵を見事現代に生かした蓬春芸術の本領を発揮した。代表作に「三熊野の那智の御山」「市場」「榻上の花」などがあり、著書に「日本画新技法」がある。
略年譜
明治26年 10月15日北海道松前市に生る
大正3年 東京美術学校西洋画科入学
昭和4年 第2回二科展入選
昭和5年 第3回二科展入選
昭和7年 東京美術学校日本画科に転向
昭和12年 同校日本画科卒業
昭和13年 「秋二題」第5回帝展
昭和14年 「神苑春雨」第6回帝展
昭和15年 「三熊野の那智の御山」(特選・帝国美術院賞、政府買上、御物)第7回帝展
昭和2年 「緑庭」(特選)第8回帝展
昭和3年 「潮音」(推薦)第9回帝展
昭和4年 帝展審査員
昭和6年 「波野」第12回帝展
昭和7年 「市場」第13回帝展(政府買上、東京芸大蔵)
昭和9年 「岩倉大使欧米派遣之図」明治神宮絵画館壁画揮毫
昭和10年 帝国美術院改組に際し参与となる
昭和14年 「秋影」第3回文展出品。審査員となる
昭和22年 「山湖」第3回日展
昭和23年 「濤」第4回日展(政府買上、東京国立近美蔵)
昭和24年 「榻上の花」第5回日展(政府買上、東京国立近美蔵)
昭和25年 日本芸術院会員となる。「夏の印象」6回日展
昭和29年 日展常任理事となる
昭和31年 8月、北京に於て開催された「雪舟等楊」逝世四百五十年記念式典に日本代表として参列
昭和38年 5月、自選展開催 朝日新聞社主催(銀座、松屋)
昭和39年 「春夏秋冬」四部作(昭和36年第4回新日展出品「秋」より四年間をもって完成。東京国立近代美術館蔵)
昭和40年 文化勲章受領
昭和43年 新宮殿壁画完成
昭和45年 神奈川県文化財委員会と朝日新聞社主催にて横浜高島屋にて喜寿記念展開催
昭和46年 5月31日 病没

出 典:『日本美術年鑑』昭和47年版(84-85頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2015年12月14日 (更新履歴)
『日本美術年鑑』に収録されている以下の記事にも「山口蓬春」が含まれます。
to page top