岸熊吉

没年月日:1960/11/23
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 古文化財の保存修理に長らくたずさわっていた岸熊吉は11月23日、脳溢血のため奈良市の自宅で逝去した。享年79才。明治15年1月8日福井市に生れた。中学時代に上京、明治31年東京美術学校図案科を卒業し、直ちに内務省宗教局国宝調査室で国宝建造物実測図のトレースの仕事に入っていった。同32年、京都府の社寺建造物修理技手を嘱託され、醍醐寺経蔵修理工場に、又本願寺飛雲閣修理工事場にも勤務した。大正10年奈良県技師に任ぜられ、以後退官までの20年間に県内国宝建造物約50棟の修理に関与した。その主なものは、東大寺南大門・転害門・大湯屋、興福寺東金堂、唐招提寺礼堂、当麻寺金堂・講堂、室生寺灌頂堂、春日神社本殿、石上神社拝殿その他がある。昭和9年、法隆寺国宝保存工事事務所より法隆寺国宝保存工事計画調査を嘱託され、更に16年、法隆寺国宝保存工事事務所長兼技師を嘱託された。20年同嘱託を解かれ、その後は文化財保護に関する各委員を委嘱され、34年には長年の功により紫授褒賞を授与された。

出 典:『日本美術年鑑』昭和36年版(137頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2015年12月14日 (更新履歴)
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