松波多吉

没年月日:1954/02/04
分野:, (工,漆)

 漆工家松波多吉は、2月4日東京都世田谷区の自宅で心臓麻痺で没した。享年74歳。明治15年石川県金沢市に生まれた。12歳の時、同市の塗師礪波彦太郎に師事して15歳まで★漆の伝修を受け、その後印籠塗師として有名な東金生の門に入つた。明治34年秋東京に出て、六角紫水磯矢完山の経営する明治漆器工場へ塗師として入り、紫水、完山について新興漆芸の新しい分野と知識について学ぶところ多く、また彩漆の研究については紫水の良き助手として将来を嘱望された。其の後宮城県から漆工指導者として招かれ、仙台に止まること3年余、同地方の漆器技術の向上につくした。同38年東京に帰り、岩崎家の専属として調度品、美術品等の修理、製作、鑑定などに従事し、また市島浅治郎などと共に神社仏閣の建築漆工にも活躍した。さらに砲兵工廠、宮内省主馬寮等にも奉職して技術の改良、施設の改善等についてしばしば当局から表彰された。この間、引箆の研究に没頭して幾多の新機軸を案出し、多くの名作を残した。その独白の技法は昭和27年3月文化財保護委員会から無形文化財に選定された。

出 典:『日本美術年鑑』昭和30年版(173頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2015年12月14日 (更新履歴)
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