小村雪岱

没年月日:1940/10/17
分野:, (日)

 日本画家小村雪岱は10月17日脳溢血の為急逝した。享年54歳。明治20年埼玉県川越町小村繁門の長男として生れ、後書家安並賢輔の養嗣子となつて本名安並泰輔と称した。明治40年東京美術学校日本画科卒業、在学中は下村観山教室に学んだ。卒業後松岡映丘の門に入り画道精進の傍ら国華社に入り、古名画の模写に従事し、又「北野天神縁起」「平家納経」の一部の模写を東京美術学校の依囑により完成した。その間風俗考証によく通暁するところとなり、その独自の画風は国画院同人として認められるところがあつた。特にその舞台装置には異才を発揮し、その作品は大正13年以来300余の多きに達したが、就中「安土の春」「桐一葉」「藤娘」等はその最も代表的なものと称されて居る。尚一方挿画家としても令名があり、その繊細な風趣ある人物図は世に愛好せられ、泉鏡花作の「日本橋」に染筆したのをはじめとして多くの作品が遺されて居る。次にその遺作に就いて主要なものを列記する。
舞台装置
(脚本名) (作者名) (上演年月及劇場名)
忠直卿行状記 菊池寛原作 林和脚色 大正13年8月 公園劇場
安土の春 正宗白鳥 大正15年3月 新橋演舞場
淀君小田原陣 松居松翁 大正15年4月 歌舞伎座
黄門記 岡本綺堂 昭和2年1月 歌舞伎座
桐一葉 坪内逍遥 昭和2年10月 歌舞伎座
春日局 福地桜痴 昭和4年1月 歌舞伎座
大菩薩峠 中里介山 昭和5年9月 歌舞伎座
治承の秋 高山樗牛原作 姉崎正治脚色 昭和6年6月 歌舞伎座
一本刀土俵入 長谷川伸 昭和6年7月 東京劇場
岩倉具視 松居松翁 昭和8年4月 歌舞伎座
藤娘 岡鬼太郎補 昭和12年3月 歌舞伎座
秀頼の最後 真山青果 昭和12年4月 東京劇場
挿絵
(作品名)(作者名)(掲載年月及新聞名)
多情仏心 里見弴 大正11年12月 時事新報
闇に開く窓 里見弴 昭和4年9月 朝日新聞
おせん 邦枝完二 昭和8年9月 朝日新聞
突かけ侍 子母沢寛 昭和9年3月 都新聞
お伝地獄 邦枝完二 昭和9年9月 読売新聞
忠臣蔵 矢田挿雲 昭和10年10月 報知新聞
浪人倶楽部 村松梢風 昭和10年12月 読売新聞
旗本伝法 土師清二 昭和12年1月 東京日々新聞
喧嘩鳶 邦枝完二 昭和13年8月 東京日々新聞
両国梶之助 鈴木彦次郎 昭和13年9月 都新聞

出 典:『日本美術年鑑』昭和16年版(93頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2017年05月29日 (更新履歴)
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