佐々木岩次郎

没年月日:1936/12/29
分野:, (建)

帝室技芸員佐々木岩次郎は昨11年12月29日84歳の高齢を以て逝去した。
 略歴―嘉永6年京都に生る。家は四代前より建築の業務を営み来つた為志を斯業に進め、明治2年の頃より建築設計に従ひ、当時の名匠木子棟斎の門に入つて学んだ。明治10年、京都大谷派大本山本願寺本堂の再建に際し棟梁木子棟斎の補佐役として棟梁加談申付られ設計並に工事監督の任に当つた。同29年、内務省古社寺保存計画に関し調査を嘱託され、奈良、京都、平泉の旧蹟建築物の調査及修理の監督に従事した。同31年浅野総一郎に招聘され、主任技師として芝区の本館(俗称紫雲閣)の設計監督に当る。同43年、日英大博覧会開催に際し東京市実業同盟会出陳の東京館設計監督を委嘱され渡英し、帰路英仏独露の建築を視察した。大正2年大本山増上寺大殿再建主任技師を命ぜらる。同6年帝室技芸員を仰付られた。同11年次男孝之助を補佐として佐々木建築事務所を創設したが、昭和6年同事務所顧問となり、孝之助をして所長たらしめた。
 明治以来我が日本建築の巨匠として仰がれ、我国固有の建築術を究めると共に種々独創的手腕を発揮し、主に神社仏寺建築に数多の業績を示したが、其等の中極く主なる作品は左の通りである。
神社及其附属等
明治26年 官幣大社平安神宮蒼龍白虎楼及応天門
明治28年 官幣大社北野神社楼門及格連子塀
明治33年 別格官幣社昭国神社造営
明治35年 官弊大社宮崎神宮造営
大正8年 官幣大社朝鮮神宮造営
大正8年 別格官幣社上杉神社造営
大正10年 三井家顕名霊社
大正15年 府社富岡八幡神社々殿外各営造物
昭和4年 居木神社々殿外営造物
仏寺及其附属等
明治10年 大本山大谷派本願寺本堂
明治26年 大本山大谷派本願寺玄関
明治29年 豊国廟唐門及手水舎
明治43年 大本山大谷派本願寺本堂門
大正2年 大本山増上寺大殿
大正15年 大本山円覚寺大方丈書院庫裡
昭和5年 本門仏立財団本部本堂
昭和8年 京都嵐山法輪寺多宝塔

出 典:『日本美術年鑑』昭和13年版(126頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「佐々木岩次郎」『日本美術年鑑』昭和13年版(126頁)
例)「佐々木岩次郎 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/8422.html(閲覧日 2024-03-29)
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