東孝光

没年月日:2015/06/18
分野:, (建)
読み:あずまたかみつ

 建築家で大阪大学名誉教授の東孝光は6月18日、肺炎のため死去した。享年81。
 1933(昭和8)年9月20日、大阪市に生まれる。57年大阪大学工学部構築工学科を卒業後、郵政省大臣官房建築部に勤務。60年に坂倉順三建築事務所に入所し、「枚岡市庁舎」(1964年、西澤文隆とともに担当)、「新宿駅西口広場・地下駐車場」(1966年)などの実施設計・監理を坂倉のもとで担当した。
 東京都渋谷区神宮前に自邸「塔の家」を設計(1966年竣工)、わずか6坪の変形の土地に建つRC造打ち放しの建物は、6層の内部に一切の仕切りを設けることなくプライバシーを確保して都市における狭小住宅のあり方を明快に提示し、一躍注目を集めた(2003年、「日本におけるDOCOMOMO 100選」に選定)。
 67年に独立し、東孝光建築研究所を設立。「粟辻邸」(1971年)、「羽根木の家」(1982年)、「阿佐ヶ谷の家」(1993年)など、長女の東理恵との共同設計作品も含めて100件以上の住宅設計を手掛けた。1995(平成7)年に「塔の家から阿佐谷の家に至る一連の都市型住宅」で日本建築学会賞(作品)受賞。また、「大阪万国博覧会三井グループ館」(1970年)や、「さつき保育園」(1969-76年)、「姫路工業大学書写記念会館」(1995年)などの教育施設の設計も行なっている。
 85年に大阪大学工学部環境工学科教授に就任。97年に退官後2003年まで千葉工業大学工業デザイン学科教授を務めた。
 主な著書に、『日本人の建築空間』(彰国社、1981年)、『都市住居の空間構成』(鹿島出版会、1986年)、『「塔の家」白書』(住まいの図書館出版局、1988年)、『都市・住宅論』(鹿島出版会、1998年)などがある。

出 典:『日本美術年鑑』平成28年版(543頁)
登録日:2018年10月11日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「東孝光」『日本美術年鑑』平成28年版(543頁)
例)「東孝光 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/809081.html(閲覧日 2024-04-24)

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