今井寿恵

没年月日:2009/02/17
分野:, (写)

 写真家の今井寿恵は2月17日、急性心不全のため東京都新宿区の病院で死去した。享年77。1931(昭和6)年7月19日東京市に生まれる。52年文化学院美術科卒業(油絵専攻)。父が銀座松屋の営業写真室を運営しており、父の知人の勧めもあって、文化学院卒業後に写真制作を始め、56年に初個展「白昼夢」(松島ギャラリー)を開催。カラーフィルムを用いた幻想的な作風で注目され、ファッション雑誌などの仕事と並行して、「心象的風景」(富士フォトサロン、1957年)、「ロバと王様とわたし」(月光ギャラリー、1959年)、「オフェリアそのご」(小西六ギャラリー、1960年)などの個展を開催。フォトモンタージュなどの技法を用いたフォトポエムと評される作品は、50年代初頭に隆盛したリアリズム写真運動から、主観主義写真など、より写真家個人の視点や内面に立脚し、造形的な側面も重視する写真表現へと移行していく当時の日本の写真界において高く評価され、59年には第3回日本写真批評家協会賞新人賞(個展「ロバと王様とわたし」に対して)、60年にはカメラ芸術賞大賞をそれぞれ受賞した。62年には評論家福島辰夫が中心になって企画した「NON」展(銀座松屋)に参加。しかし同年に交通事故に遭い、一時失明状態になるなどの後遺症のため制作活動を数年間休止する。交流のあった寺山修司の誘いで競馬場を訪れたことなどをきっかけに馬に関心を持ち、70年にイギリスで当時全盛期を迎えていた競走馬ニジンスキーに出会ったことからサラブレッドという新たなモティーフを得て、写真家としての活動を本格的に再開、71年個展「馬に旅して」(ニコンサロン)を開催した。以後、サラブレッドや騎手など、世界各地で競走馬をめぐる撮影を重ね、新たな評価を確立した。77年に出版した写真集『通りすぎる時―馬の世界を詩う』(駸々堂)により78年第28回日本写真協会賞年度賞を受賞。また2004(平成16)年にはJRA(日本中央競馬会)創立50周年に際し、特別表彰を受けた。主な写真集に『テンポイント』(駸々堂、1978年)、『シンボリルドルフ』(角川書店、1985年)、『サラブレッド讃歌』(玄光社、1987年)、『夢を駆けるトウカイテイオー』(角川書店、1994年)、『武豊』(角川書店、1994年)などがある。

出 典:『日本美術年鑑』平成22年版(459-460頁)
登録日:2014年10月27日
更新日:2015年12月14日 (更新履歴)
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