石田徹也

没年月日:2005/05/23
分野:, (美)

 私的なイメージを通して現代社会におかれた孤絶した人間存在を表現して注目されていた美術家の石田徹也は、5月23日に急逝した。享年31。1973(昭和48)年6月16日に静岡県焼津市に生まれる。1992(平成4)年3月静岡県立焼津中央高校を卒業、同年4月武蔵野美術大学伝達デザイン科に入学。在学中の95年10月に第6回グラフィックアート「ひとつぼ展」グランプリ受賞、翌年3月には第63回毎日広告デザイン賞で優秀賞を受賞。同年、同大学を卒業。97年3月の第64回毎日広告デザイン賞で奨励賞受賞。同年9月、JACA日本ビジュアル・アート展でグランプリ受賞。98年10月、キリン・コンテポラリーアワードで奨励賞受賞、同月の第7回リキテックス・ビエンナーレでも奨励賞受賞。99年9月、銀座ギャラリーQ&QS(東京・銀座)で個展開催。2001年2月のVOCA展2001では奨励賞を受賞するなど、早くから注目されていた。同賞受賞作「前線」は、自身の分身ともみえる無表情な青年と白髪の幼児がベンチにたたずむ情景を描いており、荒涼とした心象風景にとどまらず、現代社会のなかで疲弊し、排除された人間の在りようを表現した作品であった。没後の06年6月、『石田徹也遺作集』(求龍堂)が刊行され、また同年9月にはNHK新日曜美術館「悲しみのキャンバス・石田徹也の世界」が放映されたことによりひろく知られるようになった。07年3月には焼津市教育委員会から特別表彰され、同年7月には静岡県立美術館県民ギャラリーにて「石田徹也―悲しみのキャンバス」展が開催された。その作品の画面には、つねに自画像のように自己イメージが投影され、独特の幻想性と設定のユニークさによって現代の社会に生きる青年が抱く痛みと悲しみを伝えるとともに、管理社会のなかで生きる人間の閉塞感を告発する、鋭くも繊細な表現者であり、その急逝が惜しまれる。

出 典:『日本美術年鑑』平成18年版(387頁)
登録日:2014年10月27日
更新日:2015年12月14日 (更新履歴)
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