堀池春峰

没年月日:2001/08/31
分野:, (美関)

 日本仏教史の研究者で東大寺史研究所長あった堀池春峰は8月31日午前9時、骨盤内腫瘍のため奈良市内の病院で死去した。享年82。1918(大正7)年12月8日、代々東大寺の会計を務めた「小綱(しょうこう)」の家系堀池家に長男として生まれる(本名は義也)。1936(昭和11)年3月、奈良県立奈良中学校を卒業。同年4月6日、雲井春海東大寺管長のもと得度、春峰と改名する。翌年2月には東大寺小綱職となり、80年までほぼ毎年、同寺二月堂の修二会(お水取り)に出仕。物資不足の戦中戦後にも用度担当者として資材の確保に尽力し、行の中断を防いだ。40年、雑誌『華厳』の編集委員となる。同年3月、修二会参籠中に応召されるが、7月、傷病し、除隊。48年3月、京都大学文学部国史学専攻卒業。同年4月、京都大学文学部大学院(旧制)に入学。51年、文化財保護委員会の依嘱により、京都市・滋賀県・和歌山県・奈良県の寺院所蔵の仏典・文書の調査に従事(65年7月まで)、現在の聖教調査の基礎をつくりあげるとともに、高山寺、醍醐寺といった近畿古刹の古文書研究で業績を残した。52年4月、奈良県綜合文化調査委員、53年4月、奈良国立文化財研究所の非常勤調査員(2001年3月まで)、61年5月、東大寺図書館司書、66年、奈良市文化財審議委員・東寺百合文書査定委員、1989(平成元)年、奈良文化財委員を兼務し、奈良国立博物館評価委員をたびたび勤めた。また、関西大学文学部非常勤講師(1964、66~68年)、奈良女子大学文学部非常勤講師(1965年)、奈良大学文学部客員教授(古文書学、1970~88年)を歴任した。85年には東大寺史研究所長に就任。この間、65年に全真言宗文化賞を受賞、77年には『古代朝鮮・日本仏教文化交渉史の研究』で朝日新聞文化賞を受賞する。2000年には文化財保護法五十年特別功労者文部大臣表彰を受けた。著書・編著に大著『南都仏教史の研究(上・下)』(法蔵館 1980・82年)のほか、『東大寺』(京都印書館 1945年)、『東大寺遺文(一~八)』(東大寺図書館 1951~56年)、『公慶上人年譜聚英』(東大寺 1954年)、『重源上人の研究(続)』(南都仏教研究会 1955年)、『聖武天皇御伝』(東大寺 1956年)、『高山寺遺文抄』(私家版・田中稔との共編 1957年)、『東大寺図書館蔵宗性・凝然写本目録』(東大寺 1959年)、『東大寺国宝重文善本聚英』(東大寺図書館 1968年)、『唐招提寺古経選』(中央公論美術出版 1975年)、『東大寺お水取り二月堂修二会の記録と研究』(小学館 1985年)、『霊山寺菩提僧正記念論集』(霊山寺 1988年)、『東大寺文書を読む』(思文閣出版 2001年)があり、学術論文には「法華堂地蔵菩薩像についての一考察」(『美術研究』166)、「法華堂の旧不動明王像について―椿井仏師と高天仏師―」(『大和文化研究』三-六)ほか100以上に及ぶ。

出 典:『日本美術年鑑』平成14年版(244-245頁)
登録日:2014年10月27日
更新日:2015年12月14日 (更新履歴)
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