門坂流 (かどさかりゅう)

没年月日:2014/04/03
分野:, (版)

 画家・版画家の門坂流は4月3日、胃がんのため東京都内の病院で死去した。享年65。
 1948(昭和23)年5月25日、京都市に生まれる。本名は門坂敏幸。父親は熊本県、母親は滋賀県の人。6歳まで京都で育ち、滋賀県に移住。日野川の清流やかまどの炎、風にたなびく稲穂を眺めたり、日光写真や写し絵をして遊び、また製図用パンタグラフを用いてスターのブロマイドを描き写すことをよくしたという。このような幼少期の経験や、高校時代にフェルメールの画集に感銘を受けたことが絵を志す原点となり、68年東京藝術大学油絵科に入学するが、肌に合わず退学。その後、知人の紹介により、雑誌『ワンダーランド』(のちの『宝島』)に連載された片岡義男「ロンサムカウボーイ」の挿画でデビュー。鉛筆・ペン画で創作活動を始め、数多くの雑誌挿絵や書籍装画などで作品を発表する。85年ころからビュランで銅版を刻む感覚と線の鋭さに惹かれ、エングレービングの技法研究をはじめる。88年自身最初の作品集『風力の学派』(ぎょうせい、文・荒俣宏、池澤夏樹、伊藤俊治)を上梓したのちは、エングレービングが創作活動の中心となる。87年には京橋のINAXギャラリーで個展を開催、以後、ガレリア・グラフィカ、不忍画廊、青木画廊などで多くの個展を開催。1998(平成10)年から翌年まで朝日新聞朝刊小説、高樹のぶ子「百年の預言」の挿絵を担当、ルーマニア、オーストリアを取材し、リトグラフ、ペン画、水彩、あるいは銅版画で発表。「エングレービングの第一人者」とも呼ばれ、シャープな線の積み重ねによる流紋を基本要素として描かれた作品は「自然の内包する生命力の顕在化」ともいわれ、高く評価された。
 作品集はほかに『水の光景 ビュランによる色彩銅版画集』(ぎょうせい、1990年)、『門坂流作品集 百年の預言』(朝日新聞社、2000年)、『Ryu KADOSAKA DrawingWorks』(不忍画廊、2006年)、『Engraving』(不忍画廊、2013年)があり、「線の迷宮―細密版画の魅力」(目黒区美術館、2002年)、「森羅万象を刻む―デューラーから柄澤斉まで」(町田市立国際版画美術館、2016年)などの展覧会で版画表現を追究した作家のひとりとして作品が展観された。

出 典:『日本美術年鑑』平成27年版(497頁)
登録日:2017年10月27日
更新日:2019年02月13日 (更新履歴)
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