いわしげ孝

没年月日:2013/03/06
分野:, (漫)
読み:いわしげたかし

 漫画家いわしげ孝は、3月6日病気のため死去した。享年58。
 1954(昭和29)年12月31日鹿児島県鹿児島市に生まれる。本名岩重孝。鹿児島県立鹿児島工業高校を経て、二松学舎大学卒業。70年『週刊少年ジャンプ』の第5回新人漫画賞で「小さな命」が入選し、翌年同誌に掲載されデビューする。その後、高校生ながらも、集英社の手塚賞に「スクラップ」、「ブルースを歌う少女」が佳作入選するが、学業を優先し執筆活動を控え、大学へ進学する。78年第2回小学館新人コミック賞に「忘れ雪」が選ばれ、本格的デビューを果たす。80年の短篇「土用前」では、鹿児島男子高校生3人と先生、東京からきたその彼女がおりなす一夜の出来事をコミカルに描き、いわしげが得意とした男子の「恥」を朗らかに捉えている。同年創刊直後の『ビッグコミック』に「ぼっけもん」を連載、上京男子の都会での青春成長物語が大ヒットとなり、第31回小学館漫画賞を受賞する。その後、ボクシングを描いた『二匹のブル』(ここまで岩重孝名義、瀬叩龍[雁屋哲]原作、全10巻、小学館、1988年)、高校を飛び出し南米にエルドラドを求める探検活劇『ジパング少年』(全15巻、小学館、1989年)、自身の体験を活かした10年半にわたる柔道漫画『花マル伝』と『新・花マル伝』(両者合わせて38巻、小学館、1993年~2003年)は、中学からのライバル同士が世界大会で決勝を戦うという、代表作のひとつとなる。「ぼっけもん」の大人編とも言える『単身花火-桜木舜の単身赴任・鹿児島』(全5巻、小学館、1993年)『上京花火-花田貫太郎の単身赴任・東京』(全7巻、同、2013年)を『ビッグコミック』に連載していたが、後者は2010(平成22)年には病気のため休載、再開後の12年2月分が絶筆となった。他に、『まっすぐな道でさみしい種田山頭火外伝』(講談社、2003年)、『青春の門-筑豊篇』(五木寛之原作、同、2005年)などがある。

出 典:『日本美術年鑑』平成26年版(451頁)
登録日:2016年09月05日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「いわしげ孝」『日本美術年鑑』平成26年版(451頁)
例)「いわしげ孝 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/236739.html(閲覧日 2024-04-24)

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