平野利太郎

没年月日:1994/03/04
分野:, (工,染)

日展会員の染織工芸家平野利太郎は3月4日午後11時43分急性呼吸不全のため東京都町田市の町田病院で死去した。享年89。明治37(1904)年4月18日東京都四谷区永住町に生まれる。曾祖父以来代々刺繍を家業とする家に生まれ、父松太郎に師事して伝統的な日本刺繍を学ぶ。また、岡倉秋水に日本画を学ぶ。昭和4(1929)年第10回帝展に「宝相華(三折衝立)」で初入選。同8年第14回帝展に「七面鳥刺繍手箱」で入選して以後、新文展、日展に出品を続ける。同11年秋の文展に「みのり刺繍壁掛」を出品して選奨受賞。同16年新文展無鑑査。戦後も日展に出品し同21年第1回日展に「海山の幸刺繍二曲屏風」を出品して特選となる。同26年日展依嘱。同33年日展会員となる。同28年よりたびたび日展審査員をつとめた。江戸時代から続く伝統的な日本刺繍を現代に生かし、屏風、衝立等を多く出品。日本工芸会、工彩会等にも出品し、昭和30年から実践女子大学講師もつとめた。

出 典:『日本美術年鑑』平成7年版(342頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)

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例)「平野利太郎」『日本美術年鑑』平成7年版(342頁)
例)「平野利太郎 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/10534.html(閲覧日 2024-03-29)
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