隅谷正峯

没年月日:1998/12/12
分野:, (工)

 刀剣作家で国の重要無形文化財保持者(人間国宝)の隅谷正峯は12月12日午後1時16分、急性循環器不全のため石川県松任市の石川中央病院で死去した。享年77。大正10(1921)年1月24日、金沢で醸造業を営む隅谷友吉の長男として生まれる。旧制金沢第一中学校に在学中に日本刀に興味を抱くようになり、立命館大学理工学部機械工学科を昭和16年に卒業した後、同学に創設された日本刀鍛錬研究所で同17年より桜井正幸に師事して作刀技術を学ぶ。また、広島県尾道市にあった興国日本刀鍛錬所でも作刀研究を進めた。戦後、帰郷し、作刀禁止が解かれた同28年から制作を再開。同29年作刀許可を受け、第1回作刀技術発表会に初入選。以後39年まで全10回行われた同展に毎回出品し、優秀賞を4回、特賞を4回受賞する。同30年日本美術刀剣保存協会の新作刀技発表会に入選。同40年作刀技術発表会を引き継ぐかたちで創設された新作名刀展に第1回から出品して名誉会長賞並びに正宗賞、同41年第2回同展で正宗賞・毎日新聞社賞を受賞する。同42年、同展無鑑査となり、審査員を委嘱され、同49年第10回同展で正宗賞を受賞する。この間、同42年石川県指定無形文化財保持者となる。同46年小型たたらによる自家製鋼を研究・開発し、同50年正倉院御物の刀子の研究・模造を行うなど、各地の古今の作刀、研磨技術を研究し、同56年国指定重要無形文化財保持者に認定された。この間、同46年日本美術刀剣保存協会協議員を委嘱され、同59年には全日本刀匠会理事長に就任。平成2(1991)年には同会顧問、同4年には日本美術刀剣保存協会理事となった。主な作品に、伊勢神宮式年遷宮御神宝纏御太刀(昭和39年)、伊勢神宮式年遷宮御神宝太刀十二振(同44年)、伊勢神宮式年遷宮御神宝太刀十六振(平成元年)のほか、皇太子妃、秋篠宮真子内親王の守り刀などがある。飛鳥・奈良時代から現代にいたる刀剣技術を研究し、なかでも鎌倉期の備前伝の鍛錬法を得意とした。奈良時代に貴人が装身具に用いた「刀子(とうす)」の制作で知られた。平成3年、佐野美術館、石川県立美術館で「隅谷正峯展」が開催され、略歴などは同展図録に詳しい。

出 典:『日本美術年鑑』平成11年版(427頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2015年12月14日 (更新履歴)
『日本美術年鑑』に収録されている以下の記事にも「隅谷正峯」が含まれます。
to page top