田口善国

没年月日:1998/11/28
分野:, (工)

 東京芸術大学名誉教授の漆芸家で、国の重要無形文化財(人間国宝)の田口善国は11月28日午前2時11分、心不全のため東京都文京区の日本医科大学付属病院で死去した。享年75。大正12(1923)年3月1日東京都麻布に生まれる。本名善次郎。生家は医者で、父と交遊のあった漆芸家松田権六に昭和14(1939)年に弟子入した。また、やはり父と交遊のあった奥村土牛に昭和11年から同16年まで日本画を学び、吉野富雄に古美術を学んだ。同21年第2回日展に「風呂先屏風みのりの朝」で初入選。以後、同22年第3回日展に「風呂先屏風蒔絵俵に鼠」、同23年第4回展に「蒔絵盃ピアノとルリ鳥」、同26年第7回展に「四枚折蒔絵屏風親子つばめ」で入選する。この間、同25年から2年間、東京芸術大学研究生として小場恒吉に日本文様を学び、図案などを研究する。同35年より日光東照宮拝殿蒔絵扉の復元修理に従事。同36年日本伝統工芸展に「蒔絵手箱」を出品して奨励賞を受賞し、同37年日本工芸会会員となる。同38年の同展では「平文蒔絵箱」で、翌年は「蒔絵飾箱 日蝕」で2年連続奨励賞を受賞。同43年同展では「野原蒔絵小箱」で文部大臣賞を受賞する。同53年MOA岡田茂吉賞工芸部門優秀賞を受賞。同55年大倉集古館所蔵の蒔絵「夾紵大鑑」の復元修理をする。同64年国の重要無形文化財保持者(蒔絵)に指定された。同39年中尊寺金色堂復元修理に参加。同49年から翌年まで東京芸術大学美術学部講師をつとめ、同50年同学助教授、同57年同教授となった。平成2(1990)年同学を停年退職し、同名誉教授となった。古美術品の復元修理を通して伝統的な漆芸技法を研究し、蒔絵、螺鈿の高度な技術を習得。そうした技術を生かし、動植物を主なモティーフとする斬新な意匠、表現を試みて現代的な漆器を制作した。

出 典:『日本美術年鑑』平成11年版(426-427頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2015年12月14日 (更新履歴)
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