本阿弥日洲

没年月日:1996/07/13
分野:, (工)

 刀剣研ぎ師で国指定重要無形文化財保持者の本阿弥日洲は7月13日午前7時35分、急性心不全のため東京都大田区上池台の自宅で死去した。享年88。明治41(1908)年2月23日、東京に生まれる。本名猛夫。名研ぎ師と言われた父平井千葉に幼少のころから家業の刀剣研磨・鑑定を学んだ後、本阿弥琳雅に師事して刀剣鑑定法を修練した。昭和3(1928)年本阿弥家の養子となって室町時代から続く名家である本阿弥家を継いで第23代当主となった。戦前は内務省神社局の命により伊勢神宮内陣や明治神宮内陣の宝刀の研磨を行う一方、軍刀審査員となり、また文部省の命により神社仏閣等の国宝、重要文化財刀剣の研磨に従事した。戦後は長く刀剣登録審査委員をつとめ、研師の立場から日本刀の姿、平肉の置き加減、帽子の形、焼刃の処理などについて現代刀匠の刀剣制作に助言を与え、伝統的作刀の技法を継承することに寄与した。古刀から現代刀に至る幅広い時代の刀の研磨に通暁し、特に相州物、山城物などの各伝の刀剣類の研磨を得意とした。海外に所蔵される日本の刀剣の調査、保存にも寄与し、昭和47年には米国のメトロポリタン美術館、ボストン美術館にある日本の刀剣の調査を行っている。砥石の選択、刀身の砥石への当て方、刀身の押し引きの調子、鍛造及び下地の仕上げ、拭いの材料の作り方等に卓抜な技量を示し、同50年に国の重要無形文化財保持者(人間国宝)に指定された。上古刀をはじめ、美術刀剣類の研磨、刀剣鑑定に優れ、後進の指導に尽力した。

出 典:『日本美術年鑑』平成9年版(349頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2015年12月14日 (更新履歴)
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