昆布一夫

没年月日:1995/12/23
分野:, (工)

 国選定文化財保存技術保持者の漆濾紙製作者昆布一夫は12月23日午前9時37分肺炎のため死去した。享年72。大正12(1923)年1月28日奈良県吉野郡吉野町大字窪垣内に窪増太郎の三男として生まれる。幼年時から家業の宇陀紙の小版製造を手伝いながら、紙漉きの技術を学ぶ。尋常高等小学校卒業後、京都の金物店に勤め、戦後一時大阪の日本アルミに勤務するが、昭和22年2月3日紙漉きを生業とする昆布家に養子結婚し、妻京子とともに本格的に吉野紙の製作を始めた。吉野紙は薄手の楮紙でありながら、紙の腰がつよいため江戸時代より漆や油の塵を濾す紙として用いられてきた吉野地方の特産品であった。戦後、需要が減少し漉き手が減少していくなかで、昆布一夫も昭和47年に美栖紙製造に生産の中心を移す。しかし、漆工芸には必需品であるところから、伝統的な技法による漆漉紙の製作も続け、同53年5月国選定文化財保存技術保持者に認定された。高度成長期に伝統的紙漉き技法が急速に衰退するなかにあって伝統的技法を継承することに尽力した。

出 典:『日本美術年鑑』平成8年版(333頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2015年12月14日 (更新履歴)
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