藤岡了一

没年月日:1991/02/16
分野:, (学)

元大阪芸術大学教授の東洋陶磁史研究者藤岡了一は、2月16日午後5時20分、胆管ガンのため、大阪市中央区の大手前病院で死去した。享年81。明治42(1909)年11月15日、大阪市東区に生まれる。大谷大学で東洋史を専攻し、昭和7(1932)年同校を卒業。同9年11月、東京帝室博物館研究員となり、同13年同館鑑査官補となる。同18年南方博物館要員となり、同年4月よりマレー軍政監部文教科事務嘱託、同19年2月より同軍ペラ州政庁勤務、タイピン博物館駐在員となる。戦後の同22年2月、京都市立恩賜京都博物館に入り工芸を担当。同27年京都国立博物館学芸課工芸室に移り、同室長、同学芸課長を歴任。同46年に停年退官するまで長く同博物館で活躍し、翌47年より同館調査員を嘱託された。また、同47年7月より文化財保護審議会専門委員、同48年より奈良国立博物館調査員となり、同61年より泉屋博古館嘱託となったほか、藤田美術館、白鶴美術館、逸翁美術館などの理事をもつとめた。東洋陶磁史全般を見渡す広い視野を持ち、中国、日本の彩釉を中心に大系的な研究を進めた。著作には以下のようなものがある。
「越州窯の壷」(「陶磁」12-1 昭和15年)
「浄明寺址出土越州窯青磁水注」(「美術史」1 同25年)
「漢緑褐釉鴟鶚尊」(「美術史」6 同27年)
『古陶の美-中国陶磁史の概要』(毎日新聞社 同29年)
『世界陶磁全集』宋代の天目、他(共著、河出書房 同30、31年)
「西周の施釉陶」(「Museum」115 同35年)
『陶器全集11 元・明初の染付』(平凡社 同35年)
『陶器全集27 明の赤絵』(平凡社 同35年)
「茶碗 5』(共著、平凡社、同43年)
「蓼冷汁天目」「Museum」212 同43年)
「大安寺址出土の唐三彩」(「日本美術工芸」400、401、同47年)
「色絵磁器」(『日本の美術29 色絵陶器』 小学館 同48年)
「明初の磁器」(『世界陶磁全集 14』 小学館、同51年)
『日本の美術22 茶道具』(至文堂 昭和43年)
『日本の美術51 志野と織部』(至文堂 昭和45年)
『日本の美術128 正倉院の陶器』(至文堂 昭和52年)他

出 典:『日本美術年鑑』平成4年版(291-292頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「藤岡了一」『日本美術年鑑』平成4年版(291-292頁)
例)「藤岡了一 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/10481.html(閲覧日 2024-03-29)

以下のデータベースにも「藤岡了一」が含まれます。

外部サイトを探す
to page top