漆畑廣作

没年月日:1990/07/15
分野:, (水彩)
読み:うるしばたひろさく

 日本水彩画会理事の水彩画家漆畑廣作は、7月15日午後9時52分、心筋こうそくのため、東京都多摩市の日本医大多摩永山病院で死去した。享年85。一貫して水彩画を描き続け、新文展、日展などでも活躍した漆畑は、明治38(1905)年6月27日、静岡県沼津市で生まれた。大正14(1925)年、神田電機学校を卒業し、翌年より東京逓信局に勤務する一方、水彩画を描き、昭和12(1937)年第1回新文展に「境内」で初入選。その後、同17年第5回同展に「ひと刻」で入選し、翌年第6回展では「夕仕度」で特選を受けた。昭和18年第30回展より日本水彩展に出品を始める。戦後は同39年に退職するまで日本電信電話公社に勤務する一方、日展に出品を続け、同29年第10回展より出品依嘱となる。同33年新日展に改まるとその第6回展まで出品を続けた。日展を退いた後も日本水彩画会には出品を続け、同44年同会委員、同49年監事、同51年理事に就任する。山野の風景のほか、日本の伝統文化を伝える古建築や仏像、伝統芸能に多く取材し、歌舞伎や文楽の舞台絵を得意分野としたことから、国立劇場参与も務めていた。それらの歌舞伎舞台絵、二万余点は国立劇場に寄贈されている。

出 典:『日本美術年鑑』平成3年版(302頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2023年09月26日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「漆畑廣作」『日本美術年鑑』平成3年版(302頁)
例)「漆畑廣作 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/10386.html(閲覧日 2024-04-17)

以下のデータベースにも「漆畑廣作」が含まれます。
to page top