彼末宏

没年月日:1991/10/27
分野:, (洋)

 東京芸術大学名誉教授で国画会員でもあった洋画家彼末宏は10月27日午前4時15分、呼吸不全のため東京都港区の慈恵医大付属病院で死去した。享年64。暗色の地に明るく鮮やかな色点がきらめく独自の画風で知られる彼末は、昭和2(1927)年8月31日、東京で生まれたが、その後北海道へ移り、同20年北海道立小樽中学校を卒業。陸軍士官学校へ進むが、志望を転向して翌21年東京美術学校に入学し、梅原龍三郎に師事する。同26年梅原が退官すると、久保守に師事。同27年同校を卒業。同29年同校油画科助手となる。同31年第30回国画会展に「森」を初出品。同32年には「CIRQUE」で国画会賞を受賞し,翌33年同会会友となった。また、同年西欧学芸研究所から奨学金を受けて渡欧する。同35年第34回国画会展に「城跡」を出品して国画会会友賞を受け、同会会員に推される。同37年国際具象派美術展(朝日新聞主催)、同40年「具象絵画の新たなる展開」展(東京国立近代美術館)に出品する。同44年東京芸術大学助教授、同55年同教授となり、同63年退官して名誉教授となるまで長く教鞭をとって後進の指導にあたった。この間、同38年サヱグサ画廊で個展、同53年及び57年には高島屋で個展を開き、同60年有楽町アートフォーラムで「彼末宏展」、平成3年には東京芸術大学資料館で退官記念展が開催された。初期から写実を離れた詩的な具象画を描き、戦後の抽象絵画、アンフォルメル運動の中で、対象の形態を明瞭に表わさず、色彩のハーモニーに重点を置いて画面を構成する抽象画とも見まごう制作を展開。同47年6月には国画会を退き、無所属となって活動した。

国画会展出品歴
第30回(昭和31年)「森」、31回「CIRQUE」、32回「昔の戦争」、33回不出品、34回「城跡」、35回(同36年)「船」、36回「画室」、37回「花」、38回「工場のある街」、39回「原始時代」、40回(同41年)「黄色いサーカスのための音楽」、41回不出品、42回「天馬」、43回不出品、44回「NOIR」、45回(同46年)不出品、46回不出品

出 典:『日本美術年鑑』平成4年版(305-306頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2015年12月14日 (更新履歴)
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