岡部嶺男

没年月日:1990/09/04
分野:, (工,陶)

青瓷、織部などを得意とし、「岡部嶺男青磁」と言われる独自の作風で知られた陶芸家岡部嶺男は、9月4日午後6時3分、呼吸不全のため名古屋市の名古屋第二赤十字病院で死去した。享年70。大正8(1919)年10月3日、愛知県瀬戸市に陶芸家加藤唐九郎の長男として生まれる。昭和12(1937)年愛知県立瀬戸窯業学校を卒業。名古屋市守山区の父の陶房で制作を続け、戦後の同27年第8回日展に「志野扁壷」で初入選。同29年第10回日展に「青織部壷」を出品して北斗賞を受賞する。同33年より日本伝統工芸展に出品し、翌34年第6回同展で奨励賞、同37年プラハ第3回国際陶芸展でグランプリ銀賞を受賞した。この間の同35年、国の重要文化財に指定された永仁の壷が加藤唐九郎による偽作であったとする「永仁の壷事件」が起こり、唐九郎、嶺男父子間で双方とも自作であると主張して話題となった。この事件により旧姓の加藤から妻方の岡部姓へ改姓。同38年日本工芸会を退会して無所属となり、それ以後は個展等で作品の発表を行った。古典的な技術を高度に駆使し、現代的な感覚をいかした独自のフォルムを生み出した。

出 典:『日本美術年鑑』平成3年版(311-312頁)
登録日:2014年04月14日
更新日:2023年09月13日 (更新履歴)

引用の際は、クレジットを明記ください。
例)「岡部嶺男」『日本美術年鑑』平成3年版(311-312頁)
例)「岡部嶺男 日本美術年鑑所載物故者記事」(東京文化財研究所)https://www.tobunken.go.jp/materials/bukko/10311.html(閲覧日 2024-03-29)

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